「虫歯を放置すると、どうなる?」
虫歯になっている方の中で、このような疑問を感じている方がいるのではないでしょうか。
結論から言うと、虫歯を放置することでお口のトラブルだけでなく、全身疾患を引き起こすおそれがあります。
本記事では、虫歯を放置することで起こる症状・疾患を解説します。治療方法までご紹介しますので、虫歯の方は放置することなく、速やかに適切な治療を受けましょう。
虫歯放置のリスク
虫歯を放置すると、健康状態が損なわれ、さまざまな症状が現れます。おもな症状は以下の5つです。
- 激しい痛みが出る
- 食べ物が噛めなくなる
- 口臭がひどくなる
- 治療が大変になる
- 他の病気を引き起こす
虫歯が進行すると激しい痛みが出るだけでなく、口臭が酷くなったり、食べ物が噛めなくなったりします。
また、虫歯菌が顎や全身にもめぐり、発熱・ふるえ・倦怠感などの症状が出ることさえあります。
虫歯菌の代表的な菌であるミュータンス菌については、下記の記事をご覧ください。
ミュータンス菌は殺菌できる?虫歯予防の方法を解説します | アエラスバイオコラムサイト (aerasbio.co.jp)
激しい痛みが出る
虫歯が進行すると、歯の表面に刺激が加わるだけで痛みが生じる可能性があります。また、虫歯菌が神経まで到達すると、なにもしていなくても激しい痛みを感じるでしょう。
冷たいものや熱いものなどを食べたり、飲んだりするだけでも痛みを感じるようになります。
食べ物が噛めなくなる
虫歯が歯の内部まで進行すると、歯が折れたり、崩れたりして食べ物が噛めなくなります。場合によっては、詰め物や被せ物、抜歯などの処置をしなければなりません。
口臭がひどくなる
虫歯が進行すると、歯に穴が空いて食べかすがたまったり、歯の神経が腐敗したりして悪臭が出るおそれがあります。
また、歯根に膿が溜まり、臭いのもとになることもあります。虫歯の影響で生じた穴は、食べかすが詰まると、歯磨きで取り除くことが困難です。
神経の腐敗や歯根の膿も、自然に治ることはないため、口臭がなかなか治らない方は速やかに歯医者を受診してください。
治療が大変になる
虫歯が進行して症状が深刻になると、歯を大幅に削ったり、神経を抜いたりしなければなりません。場合によっては大事な歯を抜かざるを得なくなり、治療が大変になることもあります。
他の病気を引き起こす
虫歯が顎の骨にまで感染すると、顎骨骨髄炎になり、痛みや腫れ、倦怠感や発熱などの症状が起こります。
虫歯によって発生した傷から虫歯菌が侵入すると、血管を経由して全身に行き渡って菌血症が発症します。
人によっては、寒気やふるえ、発熱や血圧低下などの症状が発生するでしょう。
虫歯放置によって起こる病気
虫歯を放置すると、血液を介して虫歯菌が全身をめぐり、以下の疾患を引き起こすおそれがあります。
- 副鼻腔炎
- 骨髄炎
- 脳梗塞
- 心筋梗塞
口に近い鼻や顎だけでなく、脳や心臓にまで影響を及ぼし、場合によっては死に至るケースもあります。
副鼻腔炎
副鼻腔炎とは、虫歯菌が副鼻腔の粘膜に感染することで炎症を起こし、咳や頭痛などの症状が起こる疾患です。
上顎の奥歯付近が虫歯になった場合、近い位置にある副鼻腔にまで虫歯菌が侵入し、炎症が出るおそれがあります。
治療するためには、抗生物質を1ヶ月程度服用し、歯根の消毒や清掃などもおこなわなければなりません。
骨髄炎
骨髄炎とは、骨に炎症が起きている状態であり、嘔吐や熱などを引き起こす疾患です。歯根に存在する虫歯菌が、顎まで侵入することで顎の骨を腐らせてしまいます。
治療するためには、長期的に入院しながら抗生物質の点滴を打たなければならない場合もあるでしょう。
脳梗塞
脳梗塞とは、脳血管が閉塞して血液が行き届かなくなり、脳神経細胞が死んでしまう疾患です。
虫歯菌が血液に侵入し、血管を経由して脳に行き渡ることで、脳梗塞を引き起こすおそれがあります。
心筋梗塞
心筋梗塞とは、冠動脈が閉塞して血液が行き届かなくなり、心臓の神経細胞が死んでしまう疾患です。
脳梗塞と同様に、虫歯菌が血液に侵入することが原因で、虫歯菌が血管を経由して心臓に行き渡ることで、心筋梗塞を引き起こすおそれがあります。
放置した虫歯の治療法
虫歯を放置すると、進行具合によって選択すべき治療法は異なります。虫歯を放置した場合のおもな治療法は以下のとおりです。
- 詰め物・被せ物
- ブリッジ
- インプラント
- 入れ歯
- 根管治療
歯を削って治療したり、歯にダメージを与えずに治療したりなど、虫歯の治療法はさまざまです。歯の状況に応じて、適切な治療法を選択しましょう。
詰め物・被せ物
虫歯の進行が浅い場合、虫歯になった部分を削り、詰め物や被せ物をすることで治療できます。詰め物の場合、歯を削った部分に合成樹脂を詰め込み、歯の形に整えるのが特徴です。
被せ物の場合、歯を削った後に歯型をとり、型に合わせて被せ物をします。
ブリッジ
ブリッジとは、歯を失った箇所の両隣の歯を削り、橋を架けるよう人工歯で補う治療法です。
歯にかかる負担を分散させることができるため、入れ歯よりも強く噛むことができます。
入れ歯
重度の虫歯になると、歯がボロボロになり、抜歯などをして歯がない状態になるケースがあります。
入れ歯は、歯がない部分に合わせて作ることができ、口の中にフィットして外れにくいのが特徴です。簡単につけ外しができ、清掃が簡単なのもメリットといえます。
インプラント
インプラントとは、失った歯根の代わりにチタン製の人工歯根を埋め込み、人工の歯を設置する治療法です。
インプラント治療は、入れ歯やブリッジ治療と比べ、自然な噛み心地が得られます。また、健康な歯を削る必要がなく、歯を失っていない方でも治療ができます。
根管治療
根管治療とは、死んでしまった神経を除去し、歯根を洗浄・消毒して薬剤を詰める治療法です。
根管治療を行うことで、抜歯をしなくても、審美性や機能性を回復できる場合があります。大事な歯を抜かずに治療したい方は、根管治療を検討してみてください。
最近では、歯の神経を抜いてしまっても再生できる「歯髄再生治療」も登場し、より根本的な治療を受ける選択肢は増えています。最新の治療である歯髄再生治療については、こちらから詳細をご覧ください。
歯髄再生治療とは?メリットやデメリットを解説します | アエラスバイオコラムサイト (aerasbio.co.jp)
虫歯を自覚したら放置せず歯医者へ
虫歯を放置すると、お口のトラブルだけでなく、全身疾患につながる場合があります。場合によっては死に至ることもあるでしょう。
虫歯によって取り返しがつかなくなる前に、早期発見・早期治療を心がけましょう。
虫歯の治療を放置せず、1日でも早く対処することで、健康的な口内環境が作り出せます。お口に少しでも違和感がある場合は、歯医者の受診をおすすめします。
まとめ
虫歯を放置すると、激しい痛みや口臭が生じ、食べ物が噛めなくなる場合があります。また、症状が進行すると、全身疾患につながる場合もあるでしょう。
虫歯を放置した場合におこなうべき治療方法はさまざまです。歯科医師に相談の上、適切な治療を受けましょう。
虫歯を放置してよいことは1つもありません。少しでもお口に違和感がある場合は、速やかに歯医者を受診することをお勧めします。