「虫歯じゃないのに歯(奥歯)が痛むのはなぜ?」
このような疑問を持つ方はいるのではないでしょうか。
虫歯でなくとも、あらゆる疾患が原因で痛みを感じるケースがあります。放置すると、重症化して抜歯や抜髄(神経を取り除く処置)に至る可能性があります。
痛みが続く場合は放置せず、速やかに歯科医院を受診しましょう。
虫歯じゃないのに歯(奥歯)が痛い原因
虫歯じゃないのに歯が痛いのは、以下の症状が影響している可能性があります。
- 歯髄炎
- 歯周病
- 親知らず
- 知覚過敏
- 神経痛・偏頭痛
- 歯ぎしり・食いしばり
- 歯が割れている
- 歯列接触癖(TCH)
- 口腔がん
- 副鼻腔炎
- 気圧性歯痛
- 歯根膜炎
それぞれの症状によって、発症の原因や治療法は異なります。心当たりのある方は、早急に歯科医院を受診して、適切な治療を受けましょう。
歯髄炎
歯髄炎とは、歯の中心部にある神経が炎症を起こしている状態です。歯髄炎になっても我慢して放置していると、自然に歯髄が死んでしまい、歯に栄養を送るための血管が機能しなくなり、歯が変色したり、脆くなったりします。
歯髄炎の痛みは、歯髄を取り除くことで症状が改善します。
歯周病
歯周病とは、細菌に感染して、歯茎に炎症が起こっている状態です。重症化すると、歯茎が腫れたり、歯がぐらついたりします。
また、歯周病が進行した「中等度歯周炎」から「重度歯周炎」になってくると、抜歯するケースも少なくありません。
親知らず
親知らずとは、大人の奥歯のうち、一番後ろに生えている歯です。親知らずが横や斜めに生えていると、隣の歯を圧迫したり歯茎に汚れが溜まったりして炎症が起き、痛みを引き起こす可能性があります。
また、途中までしか生えていなかったり、まっすぐに生えていなかったりする場合、歯ブラシが届きにくくなります。虫歯を防ぐためにも、抜歯をしたほうが良いケースもあるでしょう。
知覚過敏
知覚過敏とは、歯の表面であるエナメル質の内側にある象牙質が露出し、冷たいものなどがしみる状態です。また、歯ブラシを当てた際にも痛みをともなう場合があります。
患部にフッ素などの薬を塗り、象牙質を覆うことで症状の改善が期待できます。
神経痛・偏頭痛
神経痛は、ウイルス感染などで神経が傷ついた際に発生する症状です。特に三叉(さんさ)神経が傷つくと、歯磨きや洗顔をしただけで痛みが起こるおそれがあります。
また、片頭痛によって歯が痛む場合もあります。いずれも医療機関を受診し、治療しなければなりません。
歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしり・食いしばりが起こることで、奥歯などに負荷がかかり、歯が痛くなることがあります。歯科医院で専用のマウスピースを作成し、就寝中に装着することで痛みが軽減できます。
歯が割れている
歯が割れていると、食事をするだけで痛みが起こることがあります。また、割れた瞬間は気づかず、知らないうちに細菌感染して神経に到達するおそれがあります。
極端な割れ方をしている場合、抜歯処置をする可能性があります。
歯列接触癖(TCH)
歯列接触癖とは、何も噛んでいない状態で上下の歯が接触し続ける癖です。歯に継続的な圧力がかかることで、歯が割れたり、傷んだりします。
マウスピースなどの保護装置を活用した措置が必要です。
口腔がん
口腔がんとは、唇や口内の粘膜にがんが発生する疾患です。たとえば、口底がん・歯肉がん・舌がんなどが挙げられます。
発症すると、口内に赤・白の斑点ができ、皮膚や粘膜がえぐれるおそれがあります。そのため、食べ物を噛んだり飲み込んだりするのが難しくなるでしょう。
副鼻腔炎
副鼻腔炎とは、鼻の周囲の空洞である副鼻腔が炎症を起こす疾患です。発症すると、鼻水・鼻詰まり・頭痛・顔面の痛みなどが起こります。
気圧性歯痛
気圧性歯痛とは、気圧の変化によって起こる歯の痛みです。飛行機に乗っているときや登山しているとき、ダイビング中などで気圧が急激に変動した際に痛みが起こります。
特に、もともと虫歯や詰め物・神経の損傷などがある場合に痛むことがあります。
歯根膜炎
歯根膜炎とは、歯と歯茎をつなげている歯根が炎症を起こす疾患です。発症すると、食べ物を噛むときに不快感や痛みを感じることがあります。
放置すると、重症化したり歯が移動したりするおそれがあります。
虫歯じゃないのに歯が痛いときの対処法
虫歯じゃないのに歯などが痛むときは、我慢せずに歯医者での早急な受診が大切です。しかし、場合によってはすぐに受診ができず、痛みに耐えなければならないこともあるでしょう。
痛みに対する応急処置として有効な方法は以下の3つです。
- 痛み止めを服用する
- 患部を冷やす
- 口腔ケアを徹底する
すぐに効果が実感できる方法は、痛み止めの服用と患部を冷やすことです。
痛み止めを服用する
痛みを感じたら、歯科医院で処方された痛み止めを服用しましょう。万が一、効果を感じない場合は、歯科医師に相談し、別の薬を処方してもらってください。
患部を冷やす
痛みに加え、腫れてきた場合には、頬に冷却シートなどを貼るなどして冷やしましょう。ただし、冷やし過ぎると血行が悪くなり、かえって腫れが引かなくなる場合があるため、冷やしすぎには注意です。
目安として、20分経ったら1度冷やすのを止めましょう。腫れの状態を見て、腫れが引かない場合は、少し時間を置いてから再度冷やしてみましょう。
口腔ケアを徹底する
痛みの原因の1つに、食べ物が歯肉に詰まって押し込まれていることがあります。爪などで無理に取ろうとすると、傷がついたり細菌感染したりするため、デンタルフロスなどを使用して慎重に取り除きましょう。
奥歯の痛みに関するよくある質問
歯や奥歯の痛みに関してよくある質問をまとめました。過去に歯の痛みで悩んだ経験がある方や、奥歯などを治療中の方などは参考にしてみてください。
- 夜になると奥歯が痛むのはなぜ?
- 歯が痛いときにすぐ実践できる対処法は?
- 歯が痛いときに控えたほうがいいことは?
歯が痛いと感じる場合は、冷却シートを活用したり、ツボを押したりしてみてください。また、痛みの原因となる長時間の運動や入浴、飲酒も控えることをおすすめします。
夜になると奥歯が痛いのはなぜ?
夜になると、歯ぎしりや副交感神経が優位になり、血管が拡張されることによって痛みが起こりやすくなります。
歯が痛いときにすぐ実践できる対処法は?
痛みを感じる箇所の頬に冷却シートを貼って冷やしたり、手の甲側の親指と人差し指の付け根の間のツボ(合谷)を押したりすると痛みが和らぐ場合があります。
歯が痛いときに控えたほうがいいことは?
長時間の入浴・運動・飲酒などをすると、血行が良くなり、痛みが大きくなるおそれがあるため、控えておきましょう。
まとめ
虫歯ではなくても、歯髄炎や歯周病、歯ぎしり・食いしばりなどの症状によって痛みが生じるケースがあります。
虫歯ではないのに痛みを感じる場合は、速やかに歯科医院を受診して、適切な治療を受けることが大切です。
早期の受診が難しい場合は、応急処置として痛み止めを飲んだり、冷却シートを頬に貼ったりして痛みを和らげましょう。