虫歯は、虫歯菌が繁殖することで生じ、重症化すると激しい痛みを伴う疾患です。放置すると、症状が進行し、抜歯をしなければならなくなることもあります。

本記事では、虫歯の進行状態ごとの症状や治療方法、原因や予防方法を解説します。日々のケアを徹底し、虫歯予防に努めましょう。

虫歯とは?

虫歯とは、ミュータンス菌などの虫歯菌が出す酸によって、歯のカルシウムが溶ける疾患です。
初期段階の虫歯の場合、症状があまり出ないため、気づかずに放置して症状を悪化させてしまうケースがあります。

また、虫歯はミュータンス菌だけでなく、糖質や歯質などの要因が重なることで発生します。糖質を取り込み、プラークを形成するミュータンス菌は、増殖を繰り返しながら酸を作り出します。

ミュータンス菌が出す酸によって、歯質に含まれるカルシウムが溶け出し、歯に穴が空いてしまうのです。ミュータンス菌については、下記の記事で詳しく解説しているので、ご覧ください。

ミュータンス菌は殺菌できる?虫歯予防の方法を解説します | アエラスバイオコラムサイト (aerasbio.co.jp)

虫歯を発症・重症化させないためには、定期検診を受け、こまめにメンテナンスすることが重要です。

虫歯の進行状態と症状・治療法

虫歯は進行状態によって、症状・治療法が異なります。以下を参考にして、適切な治療を受けましょう。

進行状況症状治療法
C0 初期の虫歯 歯の表面のエナメル質が溶け、白く濁り、ザラザラした状態になります。歯に穴は空いておらず、痛みなどもほとんどありません。丁寧にブラッシングすることで歯垢を落とす必要があります。また、フッ素を塗ることで治療が可能です。
C1 軽度の虫歯歯の表面のエナメル質がさらに溶け出し、黒ずんだ状態となり、小さな穴ができ始めます。また、冷たい飲食物がしみることもあります。虫歯に感染した箇所を削り、レジン(歯科用プラスチック)を詰めて治療するのが一般的です。
C2 中等度の虫歯エナメル質の内側に存在する象牙質に虫歯菌が侵入することで、冷たいものや甘いものがしみたり、痛みを感じたりすることがあります。虫歯に感染した部分を削り、詰め物で補う必要があります。
C3 重度の虫歯歯の神経まで虫歯菌が侵入することで、熱いものまでしみるようになり、何もしなくてもズキズキと激しい痛みが起こります。神経の中の虫歯菌を取り除くために、根管治療を行います。
C4 保存が困難な虫歯歯根まで虫歯菌が侵入することで、歯の大部分が溶けてなくなり、神経が死にます。基本的に痛みはありませんが、歯根部に膿が溜まると、痛みが起こります。感染源を取り除くために抜歯が必要になる場合がほとんどです。抜歯後は、入れ歯やブリッジ、インプラントなどをおこなって、歯の機能を回復させます。

虫歯が神経まで達したときは根幹治療(こんかんちりょう)がおすすめ

虫歯菌が歯の神経まで侵入した場合は、抜歯をおこなうこともありますが、根管治療で歯を残すこともあります。
根管治療とは、歯の神経を抜いたり、神経や歯根を清掃して膿をなくしたりする治療です。

根管治療が必要なおもなケースとしては、以下が挙げられます。

  • 歯を噛みしめると痛む
  • 歯茎を押すと痛む
  • 冷たいものや甘いものがしみる
  • 何もしていなくても歯が痛む

根管治療をおこなうことで、大事な歯を失わずに治療ができ、歯を長持ちさせることが可能です。抜歯をせず、大事な歯を守りたい方は、根管治療を検討しましょう。
万が一、歯の神経を抜くということになっても、歯髄(歯の神経)を再生させる歯髄再生治療を受ける選択肢もあります。歯髄再生治療については、下記リンクをご覧ください。

歯髄再生治療 » 抜ける歯で未来を彩る|アエラスバイオ株式会社 (aerasbio.co.jp)

虫歯になりやすい人の特徴

虫歯になりやすい人には共通した特徴があります。おもな特徴は以下3つです。

  • 磨き残しが多い
  • 唾液量が少ない
  • 詰め物や被せ物が多い

歯磨きをしても、磨き残しが多い場合、虫歯菌が繁殖して虫歯のリスクが高まります。また、その人自身の唾液量が少ないことや、詰め物や被せ物が原因で虫歯になることもあるでしょう。

磨き残しが多い

日々歯ブラシをしていても、磨き残しがある場合、細菌の繁殖につながって虫歯のリスクが高まります。
丁寧に歯磨きをおこなったり、歯間ブラシやフロスを活用したりして、磨き残しがないように工夫することが大切です。
もし、歯並びが悪い場合は、それが原因できちんと歯を磨けず、磨き残しが発生するおそれがあります。この場合は、歯並びを矯正し、しっかり歯磨きができる環境を作ることが大切です。

唾液量が少ない

唾液には、歯に付着した歯垢を洗い流し、虫歯菌の繁殖を防ぐ作用があります。そのため、唾液量が少ない場合、虫歯菌が繁殖しやすくなります。。

唾液が少ないおもな原因は、以下の4つです。

  • 食事の際に噛む回数が少ない
  • ストレスを抱えている
  • 高齢である
  • 薬の副作用

唾液が少なく、口の中が乾燥する場合は、速やかに歯医者を受診しましょう。

詰め物や被せ物が多い

詰め物や被せ物をする場合、歯の表面を削ることで歯の強度が弱くなるため、虫歯のリスクが高まります。
また、詰め物や被せ物をすると縁に歯垢が溜まり、虫歯菌が繁殖するおそれもあるでしょう。
対策としては、詰め物や被せ物をしている周辺をしっかり磨き、虫歯菌が繁殖しないようにする工夫が求められます。

虫歯を予防する方法

虫歯を予防する方法は、誰でも簡単に実践できます。おもな予防方法は以下の5つです。

  • 歯磨きを徹底する
  • 歯間ブラシやフロスでケアする
  • 糖分を摂りすぎない
  • フッ素を塗る
  • 歯医者で定期的にメンテナンスを受ける

上記を意識して日々取り組むことで虫歯を予防できます。また、定期的に歯医者に行ってフッ素を塗ってもらったり、メンテナンスを受けたりすることも大切です。

歯磨きを徹底する

虫歯の原因の1つは、歯に付着した食べかすが原因で、虫歯菌が繁殖することです。虫歯菌を繁殖させないためには、歯磨きを徹底し、食べかすを取り除くことが必要になります。
歯磨きする際は歯ブラシを横だけでなく、縦にも動かして、まんべんなく磨きましょう。また、歯と歯の隙間を意識的に磨くことで、より効果が期待できます。

毎食後、歯磨きする習慣を継続することをおすすめします。ただし、食後すぐに歯磨きすると歯を傷つけてしまうおそれがあるため、食後30分経ってから磨くように心がけましょう。
仕事の都合などで食後に歯磨きできない場合は、歯間ブラシやフロス、マウスウォッシュなどを使ってケアしてください。

歯間ブラシやフロスでケアする

歯ブラシを使って歯磨きを徹底することは大事ですが、それだけだと、磨き残しが発生して虫歯のリスクが高まります。

そのため、歯磨き後は、歯間ブラシやフロスを使ってケアしましょう。歯間ブラシは、歯と歯の隙間や被せ物の内側、歯の根元に有効です。フロスは、歯周ポケットの中や被せ物の内側をケアするのに向いています。歯磨き後に両方を活用してケアすることをおすすめしますが、余裕のない方は、どちらかを選んで活用してください。

歯間ブラシやフロスについては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。

歯間ブラシとフロスどっちを使うべき?上手な使い方を解説します | アエラスバイオコラムサイト (aerasbio.co.jp)

糖分を摂りすぎない

糖分を摂りすぎると、口内の虫歯菌が糖を酸に変え、歯の表面が溶け出すおそれがあります。
そのため、糖分を多く摂った日は、より丁寧な歯磨きを意識しましょう。

フッ素を塗る

歯にフッ素を塗ることで、以下の効果が期待され、虫歯予防につながります。

  • 唾液中のカルシウムやリンを歯につけてくれるため、初期虫歯が治ることがある
  • 歯質が強化され、酸に強い歯になる
  • 抗菌作用により、虫歯菌が出す酸をブロックする

歯医者に行ってフッ素を塗ってもらったり、フッ素入りの歯磨き粉で歯磨きしたりして、日々のケアを継続していきましょう。

歯医者で定期的にメンテナンスを受ける

歯医者で受けられるメンテナンスでは、歯磨きなどでは対応できない専門的な清掃や検査がおこなわれます。
定期的にメンテナンスを受けることで、虫歯や歯周病の早期発見につながり、予防がしやすくなるでしょう。
特に歯並びが悪い方や矯正中の方は、虫歯のリスクが高まるため、メンテナンスを受ける必要があります。大事な歯を守るためにも、定期的に歯医者に通い、メンテナンスを受けましょう。

よくある質問

虫歯に関してよくある質問をまとめました。

  • 虫歯は自然に治る?
  • 歯の痛みがないからもう大丈夫?
  • 一度治療した歯も虫歯になる可能性はある?

虫歯は自然に治る?

虫歯が自然に治ることはありません。虫歯を放置することで、虫歯菌が神経に到達し、抜歯が必要になる場合があります。重症化する前に、治療をおこないましょう。

歯の痛みがないなら大丈夫?

痛みのない虫歯は、神経に到達している可能性があるため、必ずしも大丈夫とは言えません。もともと痛みを感じていた場合は、速やかに歯医者を受診してください。

一度治療した歯も虫歯になる可能性はある?

治療後に被せ物をしても、隙間に虫歯菌が溜まり、再び虫歯になることがあります。予防するためには、日々の歯磨きや歯医者でのメンテナンスなどが必要です。

まとめ

虫歯とは、ミュータンス菌などの虫歯菌が出す酸によって、歯のカルシウムが溶ける病気です。

進行すると、歯の表面が溶け出し、甘いものや冷たいものを食べた際に痛みが生じます。また、重症化すると、何もしていなくても激しい痛みを伴うようになるでしょう。

重度の虫歯になると、根管治療を行って、神経を抜いたり感染対策を行う必要があります。。最悪の場合、歯を抜かなければならない事態に発展することもあります。
これを防ぐには日々の丁寧な歯磨きや歯医者での定期的なメンテナンスが大切です。
適切なケアを継続し、大事な歯を守っていきましょう。

また、虫歯が進行し、過去に歯の神経を抜かざるを得なかった人でも、歯の神経(歯髄)を再生し、より虫歯に強い自分自身の歯を取り戻すことができる「歯髄再生治療」が登場しています。
歯髄再生治療は、アエラスバイオが世界で初めて実用化させた、過去には不可能だった歯の神経の再生を、可能とした最新の治療です。
歯髄再生治療についての詳細は、下記リンクをご覧ください。

歯髄再生治療 » 抜ける歯で未来を彩る|アエラスバイオ株式会社 (aerasbio.co.jp)