お子様の乳歯の抜ける時期や、抜けた後の乳歯の保存・活用について、考えたことはありますか?
子どもの成長の記念にせっかくならと、抜ける乳歯をケースの中で保管するお母さん・お父さんも少なくないのではないでしょうか。

実は、お子さんの抜ける乳歯の中には、私たちの身体を修復・再生させる能力を持つ「歯髄幹細胞」が存在します。
お子さんの歯髄幹細胞をタイムカプセルのように凍結保管しておくことで、未来の病気や怪我に備えることができる可能性があります。

そこで今回は、乳歯が抜ける前後の注意点や、抜歯した乳歯の保存方法、保存した乳歯を将来活用するための方法についてご紹介します。

乳歯の生え変わりには個人差がある

乳歯は生後半年くらいで生え始めることが多く、2歳半から3歳の頃には生え揃っています。その後、5歳前後に乳歯から永久歯に生え変わり、12歳ごろには全ての歯が生え変わります。

ただし、歯の生え変わりは個人差が大きいため、1年程度遅いことも少なくありません。
乳歯の生え変わり時期が遅くても問題はないことが多いため、歯医者では様子を見るケースがよくあります。

しかし、最近では30〜40代になっても乳歯が生え変わらない人が増えており、大人の7〜8%程度の方で乳歯が残っていると考えられています。

この原因は、はっきりしたことは分かっていませんが、食生活の変化でファストフードやコンビニ食などあまり噛まなくても良い食事が増えていることが要因の一つと考えられています。

乳歯が中々抜けない原因とは?

乳歯が中々抜けない原因についてご紹介します。

先天性欠如

乳歯の生え変わりは永久歯が生えてくることで乳歯の根元が溶け、歯がぐらぐらします。
生まれつき永久歯が欠如している方は、この働きがないため、乳歯が残るケースが多くなります。
ただし、乳歯は永久歯と比較するとエナメル質も薄く、虫歯になりやすいため、残すことが難しい場合もあります。

永久歯の生える位置がずれる

乳歯より前に永久歯が生えてきて、歯が二重になってしまうことがあります。
これは、乳歯の生えている位置ではない所に永久歯が生えてきてしまったため、乳歯の吸収が起きずに乳歯が残ったケースです。

乳歯は無理に抜かない方がよい

乳歯の下に永久歯が生えてくると、乳歯はぐらぐらしてきます。
お子さんの中には気になるため、無理に動かそうとする場合がありますが、無理に抜こうとせず、歯医者で確認することをおすすめします。

無理に抜こうとすると、歯ぐきを傷つけたり、根の部分が折れてしまったりする可能性があります。

一般的には、自然に抜けるのを待つことが多いですが、歯医者で抜歯してもらったほうが将来的な歯並びが良くなるケースもあるため、かかりつけの歯医者さんへの相談もご検討ください。

乳歯を抜いた後に注意すること

乳歯を抜いた後に注意すること

乳歯を抜歯した時に注意することをご紹介します。

・麻酔が切れてから飲食する

歯医者で抜歯する際には、麻酔をすることもあります。
麻酔が効いている間は、頬を噛んでしまう可能性や口の横から飲食物がこぼれてしまう可能性があるため、麻酔が切れてから飲食するようにしましょう。

・食事の際の注意ポイント

抜歯をしたところは傷口になっています。
乳歯の場合には、大きな傷口になることは少ないですが、傷口が治るまでその部分で食事を噛まないようにしましょう

・強いうがいは控える

傷口が治ろうとしている時に強いうがいをすると、刺激になって傷口が開くことがあります。
抜歯したばかりの時期のうがいは軽めに行いましょう。

抜歯した乳歯を保管する

乳歯は必ずしも保管する必要はありませんが、お子さんの成長の記念に「乳歯ケース」で保管することができます。
また、乳歯の中の「歯髄幹細胞」を専用の施設で凍結保管しておくことで、お子さんの将来の病気や怪我に備えることもできます。

以下に、ご家庭で保管する場合と施設で保管する場合の2種類について、詳しくご説明します。
(ご家庭では、将来利用できる形で「歯髄幹細胞」を保管することができませんので、ご注意ください。)

乳歯をご家庭で保管する場合

乳歯をご家庭で保管する際には、そのままケースに入れないようにしましょう。
抜けた乳歯には、タンパク質や唾液などが付着しています。
消毒をしてから乾燥して、きれいな状態で保存するようにしてください。

清潔にするために用意する物

消毒液(ドラッグストアなどで販売しています。)
歯が浸しておく容器(ペットボトルのふたなども活用できます。)
除菌シート
ティッシュ
歯ブラシ

乳歯を消毒する流れ

1 容器の消毒液を入れる
2 乳歯を容器の中に半日以上浸しておく
3 歯ブラシを使って汚れが残らないようにきれいにする
4 ティッシュに置いてしっかり乾燥させる

乳歯ケースで乳歯を保管

最近では、乳歯の保管を目的とした、様々なデザインの「乳歯ケース」が登場しています。
ケースの種類は豊富なため、お子さんと一緒に選んでも思い出になります。
乳歯ケースをお子さんと一緒に選ぶことで、お子さんの歯への興味が高まり、歯磨き等の日々の歯のケアの向上にも繋がるかもしれません。

乳歯ケースの素材にもいくつか種類がありますので、ご紹介します。

木製

木製の乳歯ケースは木のぬくもりや高級感があります。
ただし、湿気のある場所は注意が必要です。

【メリット】
・木の高級感がある
・丈夫で弾力がある

【メリット】
・湿気が多い場所で保管しているとカビが発生する可能性がある

プラスチック

プラスチックケースはお手頃な値段の物が多いです。
ただし、長く保管しておく場合には変色など劣化する可能性があるため注意が必要です。

【メリット】
・保管する時に手間が少ない
・カビが生えない

【メリット】
・長期間保管しておくと、直射日光の当たる場所では変色や変形などのおそれがある
・高級感は少ない

乳歯を専用の施設で保管し、再生治療に備える

乳歯は、自宅で記念として保管しておくだけでなく、将来の病気や怪我に活用するために、施設で凍結保管するという選択肢もあります。
この場合、乳歯を歯科医院で抜歯し、専用の施設に送った後、歯の中から歯髄幹細胞を採取する必要がありますので、その方法をご紹介します。

アエラスバイオ歯髄幹細胞バンク

抜ける乳歯の中には、傷ついた私たちの身体を修復・再生する能力を持つ「歯髄幹細胞」が存在します。

「歯髄幹細胞」は、高い増殖能力を持ち、特に血管や神経組織を修復する能力が高いことが知られています。この特徴から、失われた歯の血管・神経を再生させる「歯髄再生治療」に活用されています。
また、将来的には、その他の神経や血管系の疾患治療に活用できることが期待されており、アルツハイマー型認知症や脊髄損傷、脳梗塞といった疾患の治療に利用するための研究が進められています。

「歯髄幹細胞」は、再生治療に使用できる優秀な細胞ですが、年齢とともに増殖しにくくなる特徴があります。そこで、細胞が若い元気なうちに凍結保管しておけるサービスが「アエラスバイオ歯髄幹細胞バンク」です。

歯髄幹細胞を保管する流れ

歯髄幹細胞をバンクで保管する流れをご紹介します。

STEP1 バンクサービス内容の確認

アエラスバイオのHPにて、バンクサービスの種類や特徴についてご確認ください。
疑問や質問がある場合には、申込み前に問い合わせをし、解消しておきましょう。

STEP2 申込

アエラスバイオHP内の申込フォームに必要事項をご入力ください。
お申込みいただいたのち、アエラスバイオより契約書および請求書をお送りいたします。

STEP3  契約書の取り交わしと料金支払い手続き

送られてきた契約書や請求書を確認し、必要な手続きを進めます。

STEP4 不用歯の抜歯

アエラスバイオの提携歯科医院で、抜歯を行います。抜歯された歯はすぐに専用の輸送液に入れられ、アエラスバイオに発送されます。

STEP5 細胞培養

抜歯された歯の中の歯髄幹細胞は、それほど数が多くない(数千〜数万個)ため、アエラスバイオの細胞培養施設で培養し、幹細胞を一定数まで増やします。

STEP6 検査・凍結保管

検査をして幹細胞の品質や安全性に問題ないことを確認したのち、冷凍保管して、将来の再生治療に備えます。

アエラスバイオ歯髄幹細胞バンクでは、-150°C以下に保たれた保管容器の中で、細胞を元気な状態で冷凍保管します。

そして、再生治療が必要になった時に保管容器から解凍し、必要な分だけ細胞を培養して、治療に活用します。

なお、保管に推奨の乳歯は前から3~5番目の歯のため、前歯は乳歯ケースで記念に自宅に保管して、他の歯を将来の健康のためにバンクで保管するという使い方もできます。

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歯髄再生治療とは?

歯髄再生治療は、歯髄幹細胞を活用した新しい再生治療の1つです。

歯の中には、歯髄(しずい)と呼ばれる歯の神経・血管の集合組織が存在します。
特に子どもの永久歯は、この歯髄から栄養供給を受けて大きく成長していきます。

歯髄を失ってしまうと、歯に栄養や酸素を供給できなくなるため、歯の成長が止まったり、歯が弱くなってしまうリスクが高まります。
そのため、虫歯や怪我などで歯髄が失われた歯は、歯髄がある歯に比べて折れやすく、寿命が短くなることが知られています。

歯髄再生治療では、失われた歯髄を歯髄幹細胞の力で再生させ、歯を丈夫に長持ちさせることを促す治療です。
歯髄が再生されると、酸素や栄養が供給できるようになるだけでなく、治療で削られた歯の内部(象牙質)も再生されることが分かっており、歯の強度が高まることが期待されます。

楽しくわかる歯髄と歯髄再生治療

【まとめ】

お子さんの乳歯が抜ける時期は、人それぞれ異なります。成人しても乳歯が残っている方もいるため、抜ける時期が遅くても焦る必要はありません。

また、抜ける乳歯は「乳歯ケース」に入れて大切に保管したり、「歯髄幹細胞バンク」を利用して凍結保管しておくことが可能です。
若くて元気な乳歯の「歯髄幹細胞」を冷凍保存しておくことで、未来のお子さんやご家族の再生治療のために役立てることができる可能性があります。

お子さんの未来のために、「アエラスバイオ歯髄幹細胞バンク」での細胞保管について、ぜひ検討してみてくださいね。