歯髄再生治療とは
歯髄(しずい)(歯の神経)について
「歯髄(組織)」は歯の中心部に存在する神経・血管・リンパ管の集合組織のことで、一般に「歯の神経」と呼ばれています。(「歯の心臓」と呼ばれることもあります。)歯の根の部分で体の組織とつながっており、痛みを感じたり、一本一本の歯に水分・栄養分を行きわたらせて、歯を丈夫に保つことが主な役割です。
歯髄幹細胞(しずいかんさいぼう)とは
歯髄幹細胞(しずいかんさいぼう)とは、歯髄に存在する幹細胞です。
※幹細胞 : 分化能力(様々な組織の細胞に分化できる力)と複製能力(自身と同じ細胞を増やすことのできる力)を持った特殊な細胞。様々な細胞を生み出す能力を持つことから、「細胞の生みの親」と呼ばれることもあります。
幹細胞は、さい帯血や骨髄、脂肪組織など、私たちの体のあらゆるところに存在しています。中でも歯髄幹細胞は固いエナメル質に守られていることから、外部からの刺激を受けにくく、遺伝子に傷がつきにくいと考えられています。
また、歯髄幹細胞は他の幹細胞と比較して神経や血管に分化しやすいことが分かっています。
世界初の歯髄再生治療
歯髄幹細胞を用いた再生医療の一つが、「歯髄再生治療」です。
虫歯が進行した歯や事故やスポーツなどで怪我を負った歯の歯髄を取り除いて洗浄し、内部に歯髄幹細胞と薬剤を移植することで神経を再生させます。(すでに抜髄され、人工物が充填されている歯も対象となる場合があります。)
この治療法は2020年に日本で承認されましたが、世界的にも先進的な治療法であり、話題となっています。