歯髄とは

歯髄とは?

一般に歯の「神経」と呼ばれる部分のことで、正しくは「歯髄(組織)」といいます。神経の他にも血液など、いろいろな成分が含まれています。歯の根の部分で体の組織とつながっており、痛みを感じたり、一本一本の歯に栄養分を行きわたらせることが主な役割です。

歯髄は、見た目は薄いピンク色をしています。歯の中から取り出してみると、ぷるんとした柔らかい感触があります。一方、虫歯が進行している歯の歯髄は、黒く変色していることがあります。

乳歯の生えかわり期には歯の根の部分がどんどん短くなっていき(歯根吸収といいます)、やがて抜け落ちる頃には中の歯髄もほとんどなくなっています。

また、高齢になるにつれて、歯髄が細く(少なく)なっていく傾向があります。

歯髄幹細胞とは?

歯髄幹細胞(しずいかんさいぼう)とは、歯髄に存在する幹細胞です。

歯髄幹細胞は体性幹細胞の一つで、増殖能(自身と同じ細胞を増やすことのできる力)と分化能(複数の細胞に分化できる力)を持っています。

体性幹細胞は、さい帯血や骨髄、脂肪組織など、体のいろいろな部分に存在しています。中でも歯髄幹細胞は外側が固いエナメル質に守られていることから、外部からの刺激を受けにくく、遺伝子に傷がつきにくいと考えられています。

体性幹細胞の場合は全ての組織に分化できるというわけではなく、ある程度分化する組織が決まっています。歯髄幹細胞は、神経や血管に分化しやすいといわれています。

歯髄再生治療とは?

歯髄幹細胞を用いた再生医療の一つが、「歯髄再生治療」です。

虫歯になると、まず歯のエナメル質の部分が溶けていきます。虫歯が進行すると、やがて歯の内部へと進み、歯髄に達します。すると、熱いもの・冷たいものがしみて、キーンとした痛みやじんじんとした痛みを感じるようになります。

このような虫歯が進行した歯に対しては、通常では神経(歯髄)を抜き、セメントなどの人工物を詰める治療が行われます。神経を抜いてしまうと、痛みを知らせる信号が届かなくなり、じんじんとした痛みは感じなくなりますが、栄養分を送る働きも失われ、歯の変色の原因となります。

神経を抜いた後、再び虫歯になると、痛みを感じないため気がつかないうちにどんどん進行し、歯の根の方へ達したときに突然激しい痛みに襲われることがあります。

さらに虫歯が進行すると、最終的には歯を抜かなくてはなりません。

再生医療イメージ

このような神経を抜いた歯に対し、人工物を詰めるのではなく、神経をよみがえらせるのが「歯髄再生治療」です。

幹細胞を移植して元気な歯の神経(歯髄)を取り戻すことにより、再び歯に栄養分が行き渡るようになり、「自分の歯」を長く保つことができます。また、神経(歯髄)は柔らかいクッションの役割を果たしているため、神経があることで強い衝撃が加えられた時に歯が折れるリスクも減らすことができます。

この治療法の開発により、従来の「神経を抜く」という治療の代わりに「神経を再生させる」という新たな治療方法が選べるようになりました。

今後、治療を受けられる対象年齢の拡大など、更なる研究開発を進めています。