「親知らずを抜いたほうがいい?それとも抜かなくてもいい?」
このように迷う方がいるのではないでしょうか。
親知らずには、抜いたほうがいい場合と、抜かなくてもいい場合があります。本記事では、親知らずによって起こるトラブルや、親知らずを抜くべき場合とそうでない場合について解説します。
親知らずにどう対処するかを学び、トラブルが起きないよう上手に付き合っていきましょう。
親知らずとは?
親知らずとは、前歯から数えて8番目の奥歯です。親知らずは、10歳ごろに顎の骨の中で形成され始め、20歳ごろに生えてきます。
「親が成長を見守れる他の歯と異なり、親が成長を知らないから」、「昔は寿命が短く、親が亡くなってから生えてくるから」、「一番奥に生えており見えないので、親が存在を知らないから」など、名前の由来は諸説あります。
また、人によっては必ずしも生えるものではなく、生涯を終えるまで親知らずが生えない方もいるでしょう。
親知らずは永久歯よりも生えるタイミングが遅いため、生える場所が窮屈になってトラブルを起こすことがあります。
親知らずが引き起こすトラブル
親知らずは、人によってはトラブルを起こす原因になります。起こりうるトラブルは以下のとおりです。
- 虫歯
- 智歯周囲炎
- 口臭
- 顎関節症
- 歯並びが乱れる
親知らずの生え方によっては食べかすが溜まりやすくなり、虫歯や智歯周囲炎、顎関節症や歯並びを乱す原因になります。
虫歯
親知らずが斜めに生えたり、半分埋まった状態で生えたりしている場合、隣の歯の間に隙間ができて食べかすが溜まりやすくなります。
食べかすが貯まると、虫歯菌が繁殖する原因となり、虫歯が起こるおそれがあります。
智歯周囲炎
智歯周囲炎とは、親知らずの周りの歯肉が腫れて痛み始める疾患です。親知らず付近に溜まった食べかすなどが原因で起こるおそれがあります。
智歯周囲炎を放置すると、顔が腫れたり、口が開きにくくなったりして日常生活に支障が出るおそれがあります。
口臭
親知らずが斜めになったり、半分埋まった状態で生えたりしている場合は歯ブラシが届きにくくなります。そのため、食べかすが溜まりやすくなり、口臭の原因になるおそれがあるでしょう。
顎関節症
親知らずが正しく生えていない場合、反対側の歯と噛み合わなくなり、顎に負担がかかります
過度に負担がかかる状態が継続すると、顎関節症になって痛みが生じたり、ふいに口が開かなくなったりします。
歯並びが乱れる
親知らずが斜めに生えると、隣の歯を押し続けてしまい、歯並びが乱れる原因になります。
場合によっては、隣の歯と衝突して痛みが生じるケースもあるでしょう。
親知らずの生え方の種類
親知らずの生え方は、人によって異なります。おもな生え方は3つです。
- まっすぐに生える
- 斜めに生える
- 完全に埋まっている
親知らずがまっすぐに生えている場合は問題ありませんが、斜めに生えたり、埋まっていたりする場合はトラブルに発展するケースがあります。
まっすぐに生える
理想的な親知らずの生え方です。まっすぐに生えていれば、他の歯と干渉するリスクが低くなり、問題になることはほとんどありません。
斜めに生える
親知らずが斜めに生えている場合、隣の歯との間に隙間が生じ、歯垢などの汚れが溜まりやすくなります。
放置すると、虫歯の原因になったり、隣の歯と衝突して痛みを伴ったりするおそれもあるでしょう。
完全に埋まっている
親知らずが真横に生えている場合など、完全に埋まることもあります。親知らずが完全に埋まっている場合、虫歯などのリスクはとても低いといってよい状況です。しかし、嚢胞(のうほう)と呼ばれるかたまりができて骨を圧迫したり、溶かしたりするおそれがあります。
嚢胞は無症状の場合が多く、レントゲンなどで偶然見つかるケースが多い病変です。
親知らずは抜いたほうがいい?
親知らずは、抜いたほうがいい場合とそうでない場合があります。親知らずを抜いたほうがいい場合は、おもに以下のとおりです。
- 歯ブラシが届きにくい場所に生えてしまい、虫歯などのリスクがある
- 隣の歯に衝突している
- 親知らずが虫歯や歯周病になっている
- 親知らずが原因で噛み合わせに影響が出ている
- 移植や幹細胞の採取に利用できる
一方で、親知らずを抜かなくてもいい場合は、以下の状態です。
- まっすぐ生えており、歯磨きがしっかりできている
- 完全に骨の中に埋まっており、問題が起きていない
- ブリッジの支えに活用できる
親知らずは、必ずしも抜かなくてはならないわけではありません。判断に迷う方は、1度歯医者に相談しましょう。
親知らずを抜くならバンク保管も検討する
親知らずなどの不要になった歯をバンク保管し、必要なときに歯髄再生治療で活用することが可能です。
歯髄再生治療とは、抜歯した親知らずなどから歯髄幹細胞を採取・培養し、歯髄(歯の神経)を失った歯に移植することで再生させる治療法です。
歯髄再生治療の詳細については、次の記事をご覧ください。
歯髄再生治療とは?メリットやデメリットを解説します | アエラスバイオコラムサイト (aerasbio.co.jp)
治療には細胞を採取するための歯が必要ですが、治療の際に抜いても問題ない親知らずや乳歯などの不用歯がないと、歯髄再生治療は行えません。
しかし、事前に抜歯した親知らずをバンク保管しておけば、いつでも歯髄再生治療を行うことができ安心です。
さらに、歯髄幹細胞は、病気や美容領域への活用も注目されており、さまざまな分野で役に立つことが期待されています。
未来の大事な歯を守るために、アエラスバイオのバンク保管を利用してみてはいかがでしょうか。
アエラスバイオのバンク保管については、下記のリンクをご覧ください。
バンク保管サービスについて » 抜ける歯で未来を彩る|アエラスバイオ株式会社 (aerasbio.co.jp)
親知らずの治療の流れ
親知らずを抜歯したことがない場合、どのような順番で治療が進むのかわからない方がいるでしょう。親知らずの治療の流れは以下のとおりです。
- 状態を確認する
- 口内をきれいにする
- 麻酔する
- 抜歯する
- 状態を確認する
レントゲンで親知らずの状態を確認した後、患者さんの負担を軽くするために、麻酔などを使用しながら処置をおこないます。
1.状態を確認する
レントゲン撮影を行い、親知らずの生え方や歯茎の状態を確認することが重要です。抜歯にあたって複雑な処置が必要な場合は、大学病院に紹介することもあります。2.口内をきれいにする
親知らず周辺に炎症がある場合は、清掃したり、炎症を抑える薬を使用しなければなりません。炎症がない場合は、そのまま抜歯をおこないます。
3.麻酔する
抜歯の前に、痛みや出血を抑えるための麻酔をおこなう必要があります。注射麻酔をかける前に、表面麻酔をかけることで注射時の痛みが和らぎます。
4.抜歯する
上顎の親知らずを抜歯する場合は、骨が比較的柔らかいため、抜きやすいとされています。一方で、下の顎の親知らずの場合は、骨が密集していることで抜きにくいです。
そのため、比較的治療時間が長くなる傾向にあります。
5.状態を確認する
抜歯した翌日もしくは翌々日に状態を確認してもらう必要があります。
親知らずを抜歯後に注意すべきこと
親知らずの抜歯後、抜歯箇所に刺激を与える行為をしてしまうとトラブルに発展する場合があるため、以下の注意事項を守りましょう。
- 激しい運動や飲酒を控える
- 抜歯箇所を舌で触らない
- 過剰にうがいしない
親知らずの抜歯後は、抜歯箇所を刺激しないよう、安静にしておくことが大切です。
激しい運動や飲酒を控える
激しい運動や飲酒をすると、血行が促進され、出血がひどくなるおそれがあります。出血が多くなると、傷の治りが遅くなったり、腫れや痛みが酷くなったりします。
親知らずの抜歯後は、安静にしておきましょう。
抜歯箇所を舌で触らない
親知らずの抜歯後に、抜歯した箇所を舌で触ると、傷の治りが遅くなります。また、抜歯箇所の骨が露呈し、痛みが生じる場合もあります。
親知らずの抜歯後は、決して舌で抜歯箇所を触らないようにしましょう。
過剰にうがいしない
親知らずの抜歯後は、傷を治すためにかさぶたが作られます。もし過剰にうがいをしてしまうと、かさぶたが剥がれ、傷の治りが遅くなります。
親知らずの抜歯後は、なるべくうがいをしないようにしましょう。
親知らずが痛み始めたときの対処法
親知らずの抜歯をする際は、麻酔を使用するため、痛みを和らげることが可能です。一方で、麻酔が切れると、痛みが生じる場合があります。
もし痛み始めた場合は、以下の処置をおこないましょう。
- 患部を冷やす
- 痛み止めを飲む
応急処置として、患部を冷やしたり、痛み止めを飲んだりすることは有効です。痛みがひどくなった場合は試してみてください。
患部を冷やす
患部を冷却シートなどで冷やすことで、痛みを和らげる場合があります。過度に冷やしすぎると、痛みが強まるおそれがあるため、注意が必要です。
痛み止めを飲む
歯医者で処方してもらった痛み止めを飲むことで、痛みを抑える効果が期待できます。また。ドラッグストアなどで販売されている痛み止めを飲むことも効果的です。
まとめ
親知らずは、虫歯や歯並びの乱れ、智歯周囲炎などを引き起こす原因になります。一方で、生え方によってはトラブルなく生活できる場合もあるでしょう。
親知らずが斜めに生え、周りの歯に干渉したり、磨き残しの原因になったりする場合は抜歯することをおすすめします。その際は、将来に備えてバンク保管も検討してみてください。
親知らずの抜歯後は、抜歯箇所を刺激しないよう、安静に過ごしてください。もし、抜歯箇所が痛み始めた場合は患部を冷やしたり、痛み止めを飲んだりして対処しましょう。