虫歯が進行して歯の神経(歯髄)が炎症を起こした場合、根管治療(神経治療)が必要になります。
多くの人が「根管治療は痛いのでは?」と心配しますが、治療自体は麻酔を使用するため、ほとんど痛みを感じることはありません。しかし、治療後に痛みが続くケースもあります。
この記事では、
・根管治療の痛みについて
・治療後に痛みが続く場合の原因と対処法
について詳しく解説していきます。
そもそも根管治療とは
根管治療とは、歯の神経の治療であり、根っこの治療とも言われるものです。根管治療は抜髄と感染根管治療の2種類に分かれます。
抜髄は、歯の神経を取り除く治療法です。虫歯が神経まで到達し、炎症を起こした場合におこなわれます。
一方で、感染根管治療とは、歯の根っこが細菌に感染した場合に、汚染物や細菌を除去するための治療法です。
抜髄・感染根管治療ともに痛みを取り除き、大事な歯を残すための治療法です。
根幹治療については詳しく知りたい方は下記のリンクをご覧ください。
根管治療とは?治療が必要な症状や治療手順を解説します | アエラスバイオコラムサイト
根管治療前に痛いと感じる原因
根管治療を行う前の腫れやズキズキとした痛みの原因はでまず疑われるのは虫歯です。
虫歯を放置していると歯の神経まで感染してしまい痛みを感じます。
この痛みには慢性期と急性期2つの痛みがあります。
慢性期の痛みはそれほど感じないと言われていますが、急性期の痛みに移行すると、激しい痛みになるおそれがあります。
慢性期の痛み
慢性期とは、比較的症状が緩やかで、かつ痛みが少ない状態です。我慢できない程度の痛みになる可能性は低いですが、免疫力が低下していると、症状が悪化するおそれがあります。
たとえば、歯を押すと違和感があったり、噛んだときに傷んだりするといった症状が起こります。
また、歯茎が腫れるなどの症状もありますが、激痛が出ることはないため、発見が遅れることがあります。
痛みが出た場合、市販の鎮痛剤を服用することで改善するケースが多いでしょう。一方で、歯の根の先に膿が溜まったり、歯が割れたりしている場合があるため、根管治療が必要になるケースがあります。
急性期の痛み
慢性期の痛みが長期間続くと、突発的に痛みが激しくなり、急性期の痛みへと発展します。急性期の痛みになると、激しい痛みが起こり、夜寝るのも難しくなるおそれがあります。
また、食べ物を飲み込んだり、痛みを感じる歯と反対側の歯が痛んだりする場合もあるでしょう。
治療法として、痛み止めを服用したり、患部を濡れたタオルや冷却シートで冷やしたりすることが大切です。効果が現れない場合、根管治療をおこなう必要があります。
根管治療中に痛いと感じる原因
根管治療中に痛いと感じる原因は、以下3点が関係しています。
- 薬剤の充填
- 歯根の炎症
- 麻酔が効きにくい
根管治療の工程では、痛みが出るリスクがあります。また、歯根に炎症が出る場合や、急性期の痛みの場合、麻酔が効きにくいケースがあります。
薬剤の充填
根管治療では洗浄・消毒の工程で菌が発生しないよう、根管内に強い圧力をかけて薬剤を詰めるため、痛みが生じるおそれがあります。
歯根の炎症
虫歯が歯の根っこにまで進行し、膿が発生している場合は、治療中に痛みが起こる場合があります。
麻酔が効きにくい
急性期の痛みが出ている場合、麻酔が効きにくい場合があり、痛いと感じる原因になります。特に下顎の骨はしっかりしており、麻酔が効きにくいとされています。
根管治療後に痛いと感じる原因
根管治療後には、処置をした箇所に痛みが残ることがありますが、これは比較的よく見られる反応です。
通常、治療後の痛みの期間は2〜3日で、1週間ほどでほとんど痛みを感じることはなくなります。
痛みの原因としては、以下のようなものがあります。
- 取り残した神経がある
- 根管内に膿が溜まっている
- 歯根膜に炎症が起きている
- 薬剤を詰めた圧力がかかっている
- 歯根が破折している
長期間痛みが続く場合は歯科医院を受診し、速やかに治療を受ける必要があります。
取り残した神経がある
根管内の組織は極めて複雑であるため、歯の神経を完全に除去できない場合があります。取り残された神経は、治療後に痛みを起こす原因になります。
根管内に膿が溜まっている
根管内や根管の先に膿が溜まっている場合、歯茎が腫れ、痛みが起こるおそれがあります。
歯根膜に炎症が起きている
食べ物の硬さを感知したり、歯にかかる刺激を和らげたりする歯根膜に炎症が起きていると、食べ物を噛むときに痛みを起こすおそれがあります。
薬剤を詰めた圧力がかかっている
根管内に薬剤を詰める際、圧力がかかるため、痛みが起こるおそれがあります。通常、数日経つと痛みがなくなりますが、数週間以上長引く場合は、歯科医院を受診する必要があります。
歯根が破折している
歯根が破折している場合、細菌に侵され、膿が出たり、歯肉が腫れたりして痛みが出る場合があります。
根管治療後に痛いと感じる場合の対処法
根管治療後に痛いと感じる場合、以下の対処法を実践し、痛みを和らげましょう。
- 痛み止めを服用する
- 頬の上からタオルを巻いた氷で冷やす
- 再根管治療を受ける
痛みがある場合は、痛み止めを服用しましょう。腫れが気になる方は、頬の上からタオルを巻いた氷で冷やすことをおすすめします。
痛み止めを服用する
根管治療後の痛みは2〜3日で治まってくるケースが多いですが、もし痛みが消えない場合は、歯科医院で処方された痛み止めを服用しましょう。
頬の上からタオルを巻いた氷で冷やす
痛みに加え、腫れてきた場合は、頬の上からタオルを巻いた氷で冷やしましょう。ただし、冷やしすぎると、血流が悪くなり、痛みが増す場合があります。適度に冷やすことをおすすめします。
再根管治療を受ける
再根管治療とは、過去に根管治療を行った歯に対して、再び根管治療をおこなうことです。根管治療後「膿が出てくる」「歯茎を押すと痛い」「噛むと痛い」といった症状が出る場合は、再根管治療が必要になります。
まとめ
根管治療で痛いと感じるときは、痛みをそれほど感じない「慢性期の痛み」と激しく痛み始める「急性期の痛み」のいずれかを感じるケースがあります。
痛みの原因は、薬剤の炎症や歯根の炎症、神経の取り残しなどが考えられます。2〜3日で痛みや腫れが引く場合は、痛み止めを服用したり、タオルを巻いた氷などで冷やしたりするのがよいでしょう。
一方で「膿が出てくる」「歯茎を押すと痛い」「噛むと痛い」といった症状の場合は、再根管治療が必要です。速やかに歯科医院を受診してください。
また、根管治療を繰り返すリスクを避けたいという方は、歯髄(しずい)再生治療という治療も選択肢となるでしょう。歯髄再生治療については、下記の記事をご覧ください。