健康な歯でも、残しておくとお口の中でトラブルになったり、矯正治療をする上で歯が整わないなどの理由で、抜歯が必要になる場合があります。
大切な歯のため、抜歯をする前にきちんと説明を受けて納得することが大切です。
そこで今回は、健康な歯を抜歯するケースと抜歯が必要な理由についてご紹介します。

健康な歯を抜歯することはある?

健康な歯にも関わらず、抜歯が必要になるケースについてご紹介します。

・腫れや痛みをくり返す親知らず

親知らずが横向きや斜めに生えていると、隣の歯を圧迫して痛みを感じたり、歯茎が腫れることがあります。

また、親知らずが斜めに生えると、奥歯の隙間に汚れが入りこみやすくなります。歯ブラシが当たりにくいため、虫歯や歯周病のリスクが高くなってしまいます
斜めに生えている親知らずは、噛み合わせの歯ときちんと噛んでいることが少なく、歯の機能を果たしていないません。そのため、トラブルになっている・トラブルになりそうな親知らずは抜歯が検討されます。

・矯正治療を希望していて、歯を並べるスペースが足りない場合

矯正治療を希望している方は、歯が凸凹しており、歯が並ぶスペースが少ないケースが多いです。
歯と歯の間をやすりのような器具で削ってスペースを作る「IPR」という方法もありますが、大幅にスペースが必要な場合には抜歯によりスペースを作り、その部分に歯を動かします。

上下の噛み合わせのずれがある場合

上下の噛み合わせのずれがある出っ歯や受け口は大幅に歯を動かす必要があるケースが多くなり、抜歯によるスペースの確保が検討されます。

出っ歯

出っ歯は上の前歯が出ている状態です。
上の歯の傾斜、上顎が出ていることや下顎の成長不足なども原因になります
遺伝的な要因もありますが、爪かみや口呼吸、3歳以上になっても指しゃぶりをしていることが原因で起きる可能性があります。

受け口

通常は、上の歯が下の歯を覆っていますが、下の歯が上の歯を覆っている状態が受け口です。
前歯の噛み合わせが反対になっているため、反対咬合(こうごう)といわれることもあります。
機能的にもデメリットが多い受け口ですが、見た目がコンプレックスになってしまうことも少なくありません。
遺伝的な要因だけでなく、下顎の過成長や顎を出す癖などが原因で起きる可能性があります。

抜歯後の注意事項

抜歯後の行動によっては腫れや痛みを悪化させる場合があります。
抜歯後の注意事項を守って、スムーズな治癒につながるようにしましょう。

抜歯当日は、血流の良くなることは控える

抜歯当日は、安静にして血流が良くなることを控えましょう。

抜歯後の出血は、時間の経過とともに徐々に治まっていきますが、それまでは比較的出血しやすくなります。
血行が良くなると、出血しやすく、腫れや痛みの原因につながります。
また、傷の治りが悪くなる、炎症が起きるなどのリスクもあります。

・飲酒

アルコールが体内に入ると血管が拡張するため、出血しやすくなります。
出血が長引くと、傷の治りが悪くなりますし、細菌感染のリスクもあります。
抜歯後、2〜3日程度は飲酒を控えましょう。

・入浴

お風呂はリラックスする効果がありますが、血行が良くなり出血のリスクがあります。
手術当日はシャワーで汗を流す程度にして、安静にしましょう。

・激しい運動

激しい運動も血行が良くなりますし、振動や無意識な喰いしばりなどで傷口に刺激を与えてしまいます。
抜歯当日はゆっくり休息をとって、傷口が落ち着いてから運動するようにしましょう。

食事の注意ポイント

抜歯をした後は、麻酔が1〜2時間程度効いています。
麻酔が効いていると感覚が分からないため、頬を噛んでしまったり、熱い物で火傷をしてしまったりする可能性があります。
口の横から飲食物がこぼれる場合もありますので、麻酔が切れてから食事をするようにしましょう。

・刺激になる辛い物は控える

抜歯した部分が傷口になっているため、抜歯当日は刺激になる辛い物は控えましょう。
香辛料が強いものは傷口の負担になる可能性があります。

・抜歯をした反対側で噛む

抜歯した部分は傷口をふさごうとして、血餅(かさぶたのような物)ができ始めている状態です。
傷口の部分で噛むと、傷の治りが悪くなってしまいます。
また、傷口の負担にならないように、抜歯をした方と反対側で噛むようにしましょう。
ただし、こちらは一時的な対応にとどめ、反対側だけで噛むクセがつかないように気をつけてください。

歯ブラシについて

食事をするとお口の中に汚れがつくため、抜歯後でも歯磨きが必要です。
ただし、傷口に歯ブラシが当たると傷口の治癒が悪くなってしまうため、傷口に当たらないよう気を付けて歯磨きをしましょう

また、口の中を強く口をゆすぐと傷口に刺激になってしまいます。
抜歯後の傷口が落ち着くまでは、やさしく口の中をゆすぎましょう

そのほか、清涼感のあるうがい薬は傷口にしみてしまう可能性があります。
うがい薬を使用する場合、傷口が落ち着くまでは刺激が少ない物を選びましょう。

薬の服用に関して

抜歯後は、痛み止めと抗生物質が処方されることが多いです。
痛み止めは痛みが出た時に服用するケースが多いですが、抗生物質は感染予防や痛みや腫れの軽減を目的としているため、指示された期間きちんと飲み切りましょう。

抗生物質の服用を途中で止めてしまうと、薬を効きにくくする耐性菌ができる可能性があります。
その結果、抗生物質が効きにくい体質となり、必要な時に効果を発揮しない場合があります。

喫煙について

たばこに含まれるニコチンやタールは、血管を収縮する働きがあるため、傷口の治りが悪くなる可能性があります。
また、喫煙をしていると口の中が乾燥しやすくなるため、細菌が繁殖しやすくなり、細菌感染のリスクが高くなります。
このようなリスクを回避するためにも抜歯後は喫煙を控えましょう。

抜く歯を有効活用する方法

健康な歯を抜歯する必要がある場合、抜いた歯から細胞を取り出し保管しておくことで、再生治療に活用することができます。

・歯髄再生治療

歯髄再生治療とは、一度失った歯髄を蘇らせる再生治療です。

虫歯が歯髄まで進行していたり、外傷で強い力がかかって歯髄が死んでしまったりすると、歯髄を抜く治療が必要になります。
歯髄の中には神経も含まれているため、歯髄を抜くと栄養や酸素が供給できず、歯髄を抜く治療の影響もあり、歯が弱くなってしまいます。

歯髄再生治療では、歯髄を失った歯に歯髄幹細胞を移植することで、栄養や酸素の供給機能を回復させることができます
また、歯髄と共に象牙質の再生も促進されるため、歯の強度が高まり、歯の寿命を延ばすことにつながります。
歯髄再生治療は、大切な歯を維持するための新しい選択肢です。

楽しくわかる歯髄と歯髄再生治療

歯髄幹細胞を保管する「アエラスバイオ歯髄幹細胞バンク」とは?

幹細胞は、再生能力が高く再生医療の分野で活用されています。
歯の中には、歯髄幹細胞があります。
幹細胞を使った再生医療に備えるための細胞保管サービスが「アエラスバイオ歯髄幹細胞バンク」です。

神戸にあるアエラスバイオ社と提携している歯科医院で抜歯をすることで、歯髄幹細胞を保管することが可能になります。

年齢とともに細胞も老化してしまいます。
そのため、一般的には若いうちに採取して培養した細胞の方が、よりよい治療結果が期待できます。

ご自身の歯髄幹細胞をバンクで冷凍保管しておくことで、再生医療での治療が必要なった際の選択肢が広がります。

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アエラスバイオ歯髄幹細胞バンクのメリットとは?

アエラスバイオ歯髄幹細胞バンクのメリットをご紹介します。

 1 採取する機会が多い歯髄幹細胞を保管できる

再生医療は、骨髄(こつずい)や臍帯血(さいたいけつ)から幹細胞を採取することが一般的です。
しかし、骨髄は採取するために入院や全身麻酔をする場合があることから、時間的・身体的負担が大きいです。
また、臍帯血は出産の際にしか採取ができないため、採取できる機会が限られてしまいます。

一方、歯髄幹細胞の保管は、提携歯科医院で抜歯をして歯髄幹細胞を採取ができるため、負担が少なく、採取する機会も多い方法です。
どうせ抜いてしまう歯であれば、ご家族やご自身の大きなケガ・病気に備えて、歯髄幹細胞を保管しておくことをおすすめします。

 2 未来の歯髄再生治療のために自分の幹細胞を保存できる

幹細胞は、年齢とともに増殖能力が衰えてしまうため、一般的にはできるだけ若いうちに保存しておくことがおすすめです。培養の成功率がアップします。

親知らずの抜歯や矯正で抜歯が必要だと分かった際には、事前にアエラスバイオ歯髄幹細胞バンクに申込み、提携歯科医院で抜歯、歯髄幹細胞を保管することで将来の再生治療に備えることができます。

【まとめ】

斜めや横向きに生えていて、腫れや痛みを繰り返す親知らずは、口の中でトラブルになりやすい状態です。
しっかり 噛み合ってないことも多く、歯としての役割を果たしていない場合には抜歯が検討されます。
また、矯正治療で歯を並べるスペースが足りない場合も抜歯をすることがあります。

また、これらの抜歯が必要な歯は、再生治療に活かせる場合があります。
事前にアエラスバイオ歯髄細胞バンクに申込み、提携歯科医院で抜歯、保管することで、将来再生治療に活かすことが可能です。