前歯の虫歯の原因は磨き残しだけでなく、乾きやストレスなどが関係しています。症状の度合いは、虫歯の進行状況によって異なります。

虫歯の状況に応じて適切な治療を受けることが大切です。前歯の虫歯を予防するために、日々の生活の中でブラッシングを徹底したり、食生活・生活習慣を整えたりして、対策をおこなっていきましょう。

前歯の虫歯の原因

前歯の虫歯の原因は以下3つです。

  • 乾き
  • 磨き残し
  • ストレス

口内が乾く原因(口呼吸・歯並び・磨き残し・ストレス)があると、虫歯のリスクが高まるため、対策が必要です。

乾き

口内が乾燥していると、唾液の分泌量が低下し、虫歯菌が繁殖するきっかけになります。また、口呼吸したり、出っ歯などで歯並びが乱れたりしている場合も虫歯の原因になります。口の構造上、特に前歯は他の歯に比べて乾きやすいです。

磨き残し

日々の歯磨きが不足して磨き残しがあると、歯垢が溜まり、虫歯の原因になります。特に前歯の裏側はブラッシングするのが難しいため、丁寧に磨く必要があります。

ストレス

ストレスがたまって自律神経が乱れると、唾液の分泌量が低下して口内が乾きやすくなり、虫歯の原因になります。

前歯の虫歯の症状

前歯の虫歯の症状によって、痛みや歯の様子は変わっていきます。

  • 軽度
  • 中程度
  • 重度

虫歯が軽度の場合はほとんど痛みがありませんが、中程度・重度の場合は、激しい痛みが出たり、しみたりする場合があります。

軽度

軽度の虫歯の場合、歯の表面にあるエナメル質が溶け始めることで、前歯が白く濁ったような色になります。虫歯菌がエナメル質に留まっている場合はほとんど痛みを感じません。

中程度

中程度の虫歯の場合、虫歯菌がエナメル質の下にある象牙質まで進行し、痛みをともなう場合があります。

また、熱いものや冷たいものを食べたり飲んだりした際に、痛みやしみるような感覚になるおそれがあります。

重度

重度の虫歯の場合、虫歯菌が神経(歯髄(しずい))に達し、激しい痛みを感じるようになります。放置すると、神経が死んでしまい、根元まで炎症が広がります。

最終的には痛みを感じなくなりますが、周りの歯にも炎症が広がるおそれがあるため、速やかに治療を進めなければなりません。

前歯の虫歯の治療法

前歯の虫歯の治療法は、保険診療と自由診療で異なります。それぞれの治療法を解説します。

前歯の虫歯の保険診療

前歯の虫歯の保険診療は以下2つです。

  • 被せ物
  • コンポジットレジン

虫歯の進行状況によって、適切な治療法が変わります。費用面なども加味し、歯科医師に相談しましょう。

被せ物

虫歯の影響で歯を削る量が多い場合は、被せ物をして治療します。硬質レジン(歯科用プラスチック)のような保険が適用できる材料を選べば、保険診療で治療できます。虫歯菌が神経まで到達している場合、治療後にコアと呼ばれる土台をつけて被せ物をセットします。

コンポジットレジン

コンポジットレジンとは、セラミックと合成樹脂を混ぜた白いプラスチックです。前歯の虫歯になっている箇所をコンポジットレジンで埋めて固める治療法です。

目立ちにくい一方で、経年劣化によって変色するおそれがあるため、数年に1回はつけ直す必要があります。

前歯の虫歯の自由診療

前歯の虫歯の保険診療は以下2つです。

  • セラミック
  • ダイレクトボンディング
  • 歯髄再生治療

素材によって審美性や強度は異なります。歯科医師に相談の上、適切な治療法を選択しましょう。

セラミック

セラミックは、割れやすいという欠点はありますが、レジンに比べて経年劣化による変色がなく、審美性が高いのが特徴です。また、比較的プラークの付着がしにくいため、衛生管理がしやすいといえます。 

ダイレクトボンディング

ダイレクトボンディングとは、複数のレジンを活用し、自然な歯の色合いを再現する治療法です。通常のレジンより強度があり、セラミックには劣るものの自然な色合いや透明感が表現しやすくなります。

歯髄再生治療

一番目立つ歯である前歯を白くきれいに保ちたい場合は、歯に栄養を送る歯髄(しずい)の存在が重要です。

過去に虫歯の治療等で歯髄(歯の神経)を抜いてしまい、栄養が行き渡らなくなると歯は黄色や茶色、灰色に変色しやすくなります。

歯髄再生治療では、従来では不可能だった歯髄の再生が可能であるため、歯の変色が防ぎ、白く健康的な見た目が維持できます。歯髄再生医療にご興味のある方は、以下をご覧ください。

マンガ 第一話 ~歯髄再生治療編~ » 抜ける歯で未来を彩る|アエラスバイオ株式会社

前歯の虫歯の予防法

前歯の虫歯は、下記のことを意識することで予防しやすくなります。

  • ブラッシング
  • 唾液の分泌を促す
  • 食生活・生活習慣を見直す
  • フッ素を塗る
  • 定期検診を受ける

日々のブラッシングの仕方を工夫し、食生活・生活習慣を見直しながら、唾液の分泌を促す行動をしていきましょう。定期検診を受け、フッ素を塗り、口内環境を清潔に保つことも大切です。

ブラッシング

前歯をブラッシングする際は歯ブラシをペンと同じ持ち方にして磨くことで、毛先が動かしやすくなり、磨き残しがなくなりにくくなります。

歯の表側を磨く際は、歯ブラシを寝かせながら歯の根元に当てましょう。一方で、歯の裏側を磨く際は、歯ブラシのかかとやつま先部分を活用する磨き方をおすすめします。

歯を磨く際は、歯ブラシを上下左右に小刻みに動かし、歯と歯茎の間にしっかり当てましょう。

唾液の分泌を促す

唾液には殺菌作用・自浄作用があるため、虫歯や歯周病から口内の健康を守ります。唾液の分泌を促すためには、食事の際にしっかり噛むことを意識しましょう。

しっかり噛むことで唾液腺が刺激され、唾液の分泌量が増えます。その結果、虫歯菌を殺菌する効果が期待できます。

一方で、水分の摂取量が少なかったり、コーヒーなどに含まれるカフェインを過剰に摂取したりすると唾液の分泌が減ります。

こまめに水分補給しつつ、コーヒーや紅茶は飲み過ぎないように注意しましょう。

食生活・生活習慣を見直す

生活習慣の乱れは、自律神経の乱れに繋がり、免疫力も低下します。たとえば、糖質の多い食べ物を過剰に食べたり、不規則な時間に食事したりすると、虫歯のリスクが高まります。

食べ過ぎず、栄養バランスのとれた食事を毎日3食とることを心がけましょう。また、適度な運動をこころがけ、睡眠時間をしっかりと確保することも大切です。

正しい生活リズムを維持し、健康的な口内環境を作りましょう。

フッ素を塗る

フッ素には、エナメル質の修復を促進し、歯質を強化させる効果が期待できます。また、虫歯菌の動きを弱める作用も効果もあるため、虫歯治療・予防の両方に効果的です。

定期的に歯科医院に通い、フッ素を塗ることをおすすめします。また、自宅で歯磨きをする際は、フッ素入りの歯磨き粉を使ってブラッシングするのもよいでしょう。

定期検診を受ける

定期検診では、歯科医師が口内環境をチェックし、虫歯の有無を確認します。また、クリーニングをすることで、歯垢や歯石が除去でき、良好な口内環境が維持しやすくなります。

また、歯磨きや食事の仕方などのレクチャーも受けられるため、自宅で虫歯予防するための対策がしやすくなるでしょう。6ヶ月に1回は歯医者に通い、定期検診を受けることをおすすめします。

まとめ

前歯の虫歯の原因は、乾き・磨き残し・ストレスの3つが関係しています。いずれも、日々の生活の中で工夫することで、虫歯予防ができます。

もし前歯の虫歯になった場合は、レジンやダイレクトボンディング、歯髄再生治療などの治療法を検討し、速やかに改善を図りましょう。

徹底したブラッシングやフッ素の塗布、定期検診の受診などを心がけ、健康的な口内環境を作ることが大切です。