歯並びをキレイにしたいけど、矯正中の装置の見た目が気になるという方の中にはセラミック矯正を検討している方もいるのではないでしょうか。

セラミック矯正は矯正と名前がついていますが、一般的な矯正とは異なり、大きく歯を削る必要があるため治療してから後悔をする場合もあります。

そこで今回は、セラミック矯正で後悔する人が多い理由と具体的な失敗例、発生した歯のトラブルを改善する方法をご紹介します。

セラミック矯正とは

セラミック矯正とは審美的な見た目を整えるために、歯を削ってセラミックの被せ物にして「歯並び」「歯の形」「歯の色」を数回の通院で短期間に治療する方法です。

ただし、歯の位置を変えずに被せ物で治療をするため、一見、整った歯並びをしているように見えますが、かみ合わせのバランスが崩れているケースも多いでしょう。

審美的な見た目を優先するため、歯並びの状態によっては大幅に歯を削らなければいけないケースもあり、歯の寿命を縮めてしまう可能性があります。

矯正治療とセラミック矯正は異なる

セラミック矯正は、矯正治療と名前がついていますが、歯を動かして歯並びを整える一般的な矯正治療と同じではありません。

一般的な矯正治療は、元の歯並びの状態や矯正の種類によって矯正期間が異なりますが、2〜3年程度の期間がかかります。
ただし、セラミック矯正とは異なり、基本的に大切な歯を大きく削ることはなく、ご自分の歯を正しい歯列に整えることを目指します。
また、かみ合わせのバランスを考慮しながら、歯を整えることが可能になります。
以前は、金属の装置が主流だったため、矯正中の装置の見た目が気になることがありましたが、今では白の審美ブラケットやワイヤーも選択できます。

また、薄い透明のマウスピース矯正もあるため、選択肢が広がっているといえるでしょう。

セラミック矯正と一般的な矯正治療は治療法もメリット・デメリットも違うため、両方の治療を比較した上で納得して治療を進める必要があります。

セラミック矯正で後悔する人が多い理由

セラミック矯正をして後悔する人が多い理由は大きく6つあります。

歯を大きく削る必要がある

セラミック矯正のデメリットは健康な歯を削ることです。
歯の向きを大きく変える場合には、歯を大幅に削る必要がありますが、削ってしまった歯は元通りに戻すことが出来ません。
そして、歯を削ることで歯が割れたり折れたりしやすくなり、歯の寿命を縮めてしまう場合があります。

神経を抜く場合がある

セラミックの歯にするためには、大幅に歯を削る必要があります。
歯の内部には神経があるため、神経の近くまで歯を削ることで、炎症が生じてしまう可能性があるでしょう。
また、本来の歯が生えている向きをセラミックの被せ物によって変える場合、神経を取らなければいけないケースもあります。

歯髄炎になる可能性がある

セラミック矯正は、歯の傾斜や位置によっては歯を削る量が多く、神経に刺激を与えてしまう場合があります。
神経を抜くと歯が弱くなるため、できる限り残すことが望ましいですが、削る量が多い場合に無理に神経を残すと歯髄炎になる可能性があります。

かみ合わせの改善は難しいことが多い

セラミック治療は、審美性を優先することが多く、かみ合わせの改善は難しいことが多いでしょう。
かみ合わせを配慮しないでセラミックを被せてしまうと、様々な不具合が生じます

セラミックの被せ物には寿命がある

口内環境によっても異なりますが、セラミックの寿命は10〜20年程度といわれています。
そのため、再度被せ物を作製しなおす再治療が必要になることがあります。

思っていた状態にならない場合がある

セラミックは自由に歯の色や形を決められますが、治療のゴールが明確ではありません。
虫歯の治療は、虫歯を除去して被せ物をするため、決められた手順で治療ができます。
しかし、セラミックの審美治療は患者様の希望と口腔内の状況を考慮して「できること」と「難しいこと」を診断しながら治療のゴールを設定していきます。
審美治療経験の少ない医師や患者様との打ち合わせが十分でないと、理想の見た目にならない場合があります。

セラミック矯正の3つのメリット

次に、セラミック矯正の3つのメリットについてご紹介します。

治療期間を短縮できる

歯を削って被せるため、短期間で歯並びをキレイに見せることができます。

治療中の見た目が気にならない

矯正装置をつけることがなく、治療中は仮歯の期間があるため、治療中の見た目が気にならないことが多いでしょう。

治療中の痛みがほとんどない

矯正中に歯を動かすような痛みはほとんどありません。
歯を削った時に一時的に痛みが出る場合がありますが、すぐに落ち着くことが多いでしょ
う。

セラミック矯正の失敗事例

①治療後に虫歯になった

健康な歯を削ることでエナメル質が薄くなり、歯が弱くなることに加え、被せ物をすることで天然歯と被せ物の間にすき間ができやすくなることが原因で、虫歯になることがあります。また、二次虫歯が進行したり歯髄が死んでしまうと、歯の根に膿がたまることもあります。

②治療後に歯が割れた

治療時に歯の神経(歯髄)を抜いたことで、歯の強度や柔軟性が失われて歯の根が割れる場合があります。
歯髄は、歯に水分や栄養を供給する、細菌の侵入を防ぐ、傷ついた象牙質を修復するなど、歯の強度を強く保つために重要な役割を担っており、歯髄を失った歯は弱く、割れることがあります。
これに加え、セラミック矯正を行った歯は本来の噛み合わせ位置で噛めないことがあり、歯に負荷がかかりやすくなるため、歯が折れやすくなります。

③セラミックが破損した

セラミックは陶器と同じ素材で耐久性がありますが、瞬間的な強い負荷がかかると割れる場合があります。

④噛み合わせが悪くなった

セラミック矯正は見た目の改善を主目的としているため、治療の際、歯としての機能面と健康面を二の次としてしまうケースも多いでしょう。
セラミック矯正により見た目は改善しても、噛み合わせが悪くなって日常の食事が楽しめなくなる方も少なくありません。
噛み合わせが悪くなることで一部の歯に負荷がかかりやすくなり、咬合関連痛や歯が折れやすくなる原因になる場合もあります。

セラミック矯正が歯の寿命を縮めることに繋がる原因とは

セラミック矯正が歯の寿命を縮めることに繋がる原因についてご紹介します。

神経を除去することが多い

歯を大きく削ると内部の神経に達することが多く、その場合、手術の負担を減らすために神経を除去する処置が行われます。
歯の神経を失うと、歯への水分や栄養の供給が無くなり、歯の神経(歯髄)による象牙質再形成能力も失われるため、歯が弱くなります。
また、歯が割れる可能性も高くなるため、歯の寿命を縮めてしまうことに繋がります。

発生した歯のトラブルを改善する方法とは

セラミック矯正による歯のトラブルを改善する歯髄再生治療についてご紹介します。

歯髄再生治療

歯髄再生治療は、元の健康な状態の歯に近づけるために、治療で失われた歯髄(歯の神経)の働きを回復させる治療です。
かみ合わせに関係のない乳歯や親知らず、矯正で抜歯が必要になった歯の中から採取した「歯髄幹細胞」を、歯の神経が失われた歯の根管内に移植することで、歯髄の再生を促します。

歯を沢山削って歯髄を除去すると歯が脆くなり、栄養が補給されず柔軟性も減ってしまうため、歯髄を再生して歯の働きを取り戻すことで、歯を長持ちさせることが期待できます。
また、歯にトラブルが起きた時に痛みを感じることができるようになるため、二次虫歯が悪化することも防止できます。

楽しくわかる歯髄と歯髄再生治療

【まとめ】

セラミック矯正は、短期間で歯をキレイにする治療とインターネットなどでご覧になった方もいるかもしれませんが、歯を大きく削る必要がある場合があります。
神経である歯髄を除去する必要があるケースも多く、特に歯の向きを変える場合には、残存する歯がかなり少なくなってしまうこともあります。
歯の寿命を縮めてしまうこともあり、後悔する方も多い治療であることを知っておきましょう。

神経を抜いて、歯の強度が弱くなっている場合には歯髄再生治療で歯の機能を取り戻すことができます。
大切な歯をできるだけ長い期間残すために、検討してみてくださいね。

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